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宅建勉強2月7日(月)

2022.02.07

問9

地役権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. 地役権は、継続的に行使されるもの、又は外形上認識することができるものに限り、時効取得することができる。
  2. 地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、承役地を要役地の便益に供する権利を有する。
  3. 設定行為又は設定後の契約により、承役地の所有者が自己の費用で地役権の行使のために工作物を設け、又はその修繕をする義務を負担したときは、承役地の所有者の特定承継人もその義務を負担する。
  4. 要役地の所有権とともに地役権を取得した者が、所有権の取得を承役地の所有者に対抗し得るときは、地役権の取得についても承役地の所有者に対抗することができる。

解説

  1. “地役権は、継続的に行使されるもの、又は外形上認識することができるものに限り、時効取得することができる。”[誤り]。時効取得できる地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限ります(民法283条)。本肢は「又は」としているので誤りです。
  2. “地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、承役地を要役地の便益に供する権利を有する。”正しい。地役権は、自分の土地の便益のために他人の土地を利用できる権利です。甲土地が乙土地のために便益を提供する場合、便益を提供する甲土地を承役地(しょうえきち)、地役権者が所有し便益を受ける乙土地を要役地(ようえきち)と言います。承役地は利用される側、要役地は利用する側と考えればOKです。
    地役権者は、地役権設定契約の定めに従って、承役地を要役地の便益のために利用できるので、本肢は適切な記述です(民法280条)。
  3. “設定行為又は設定後の契約により、承役地の所有者が自己の費用で地役権の行使のために工作物を設け、又はその修繕をする義務を負担したときは、承役地の所有者の特定承継人もその義務を負担する。”正しい。承役地の所有者の特定承継人とは、承役地を買い受けた人などです。地役権の設定やその後の契約で、承役地の所有者が工作物設置・修繕義務を負担する定めがあるときは、承役地の所有者の特定承継人もその義務を承継します(民法286条)。ただし、地役権者がその義務の存在を特定承継人に対抗するためには、その旨の登記をする必要があります。
  4. “要役地の所有権とともに地役権を取得した者が、所有権の取得を承役地の所有者に対抗し得るときは、地役権の取得についても承役地の所有者に対抗することができる。”正しい。地役権には所有権への付従性があり、特段の定めのない限り所有権の移転に伴って移転します(民法281条1項)。要役地の取得者は、その要役地について所有権移転登記をして対抗要件を備えれば、地役権の取得についても第三者に対抗することができます(大判大13.3.17)。
    よって、要役地を取得した者が所有権の取得を対抗できるときは、地役権の取得についても承役地の所有者に対抗できます。
    したがって誤っている記述は[1]です。

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