不動産コンサルティングの住宅比較株式会社

スタッフブログ

2021.11.29

宅建勉強11月29日(月)

住宅比較株式会社の吉田です。

宅地建物取引業者Aが、宅地建物取引業者BからB所有の建物の売却を依頼され、Bと一般媒介契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはいくつあるか。

  1. 本件契約を締結する際に、Bから有効期間を6か月としたい旨の申出があったが、AとBが協議して、有効期間を3か月とした。
  2. 当該物件に係る買受けの申込みはなかったが、AはBに対し本件契約に係る業務の処理状況の報告を口頭により14日に1回以上の頻度で行った。
  3. Aは本件契約を締結した後、所定の事項を遅滞なく指定流通機構に登録したが、その登録を証する書面を、登録してから14日後にBに交付した。
  4. 本件契約締結後、1年を経過しても当該物件を売却できなかったため、Bは売却をあきらめ、当該物件を賃貸することにした。そこでBはAと当該物件の貸借に係る一般媒介契約を締結したが、当該契約の有効期間を定めなかった。
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ

“本件契約を締結する際に、Bから有効期間を6か月としたい旨の申出があったが、AとBが協議して、有効期間を3か月とした。”違反しない。専任媒介契約の有効期間は3カ月を超えることができませんが、一般媒介契約にはこの規制の適用がありません(宅建業法34条の2第3項)。したがって、有効期間を6カ月としても3カ月としても、仮に自動更新にしたとしても適法です。
なお、国土交通省の標準専任媒介契約約款では、一般媒介契約の有効期間を、当事者で協議の上3ヶ月以内としているので、本肢もそれを意識して3カ月にしているのでしょう。
“当該物件に係る買受けの申込みはなかったが、AはBに対し本件契約に係る業務の処理状況の報告を口頭により14日に1回以上の頻度で行った。”違反しない。業務処理状況の報告は、専任媒介契約を締結したときのみの義務です(宅建業法34条の2第9項)。一般媒介契約ではそもそも報告義務自体がないので、14日に1回以上の頻度で行っても何ら問題はありません。
“Aは本件契約を締結した後、所定の事項を遅滞なく指定流通機構に登録したが、その登録を証する書面を、登録してから14日後にBに交付した。”違反しない。指定流通機構(レインズ)への登録義務があるのは専任媒介契約を締結したときのみであり、一般媒介契約では義務付けられていません(宅建業法34条の2第5項)。また、登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡すのも専任媒介契約を締結したときのみの義務です(宅建業法34条の2第6項)。そもそも一般媒介契約ではどちらも義務付けられていませんから、登録を証する書面の交付が遅れたとしても法に違反することはありません。
“本件契約締結後、1年を経過しても当該物件を売却できなかったため、Bは売却をあきらめ、当該物件を賃貸することにした。そこでBはAと当該物件の貸借に係る一般媒介契約を締結したが、当該契約の有効期間を定めなかった。”違反しない。宅建業法では売買・交換の媒介契約について規制していますが、貸借の媒介契約については特段の規制がありません。したがって、有効期間を定めない契約も可能です。したがって違反しないものは「四つ」です。

2021.11.28

宅建勉強11月28日(日)

住宅比較株式会社の吉田です。

宅地建物取引業法の規定に基づく営業保証金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 国土交通大臣から免許を受けた宅地建物取引業者が、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託した場合、当該供託所から国土交通大臣にその旨が通知されるため、当該宅地建物取引業者は国土交通大臣にその旨を届け出る必要はない。
  2. 宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、当該宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有するが、取引をした者が宅地建物取引業者に該当する場合は、その権利を有しない。
  3. 営業保証金は、金銭による供託のほか、有価証券をもって供託することができるが、金銭と有価証券とを併用して供託することはできない。
  4. 有価証券を営業保証金に充てる場合における当該有価証券の価額は、国債証券の場合はその額面金額の100分の90、地方債証券の場合はその額面金額の100分の80である。

国土交通大臣から免許を受けた宅地建物取引業者が、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託した場合、当該供託所から国土交通大臣にその旨が通知されるため、当該宅地建物取引業者は国土交通大臣にその旨を届け出る必要はない。”誤り。営業保証金を供託した宅地建物取引業者は、供託書の写しを添附して、免許権者に供託をした旨の届出をしなければなりません(宅建業法25条4項)。本肢は「届け出る必要はない」としているため誤りです。
“宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、当該宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有するが、取引をした者が宅地建物取引業者に該当する場合は、その権利を有しない。”[正しい]。営業保証金から債権の弁済を受けることができるのは、宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者(宅地建物取引業者に該当する者を除く。)です。したがって、宅地建物取引業者は営業保証金の還付権者になることができません(宅建業法27条1項)。
“営業保証金は、金銭による供託のほか、有価証券をもって供託することができるが、金銭と有価証券とを併用して供託することはできない。”誤り。営業保証金の供託は、①金銭のみ、②金銭と有価証券とを併用、③有価証券のみのいずれの方法でも行うことができます(宅建業法25条3項)。
“有価証券を営業保証金に充てる場合における当該有価証券の価額は、国債証券の場合はその額面金額の100分の90、地方債証券の場合はその額面金額の100分の80である。”誤り。有価証券を営業保証金又は弁済業務保証金に充てる場合における当該有価証券の価額は、国債は額面金額の100%、地方債は額面金額の90%の価額です(施行令15条1項)。本肢は、国債90%、地方債80%としているので誤りです。

したがって正しい記述は[2]です。

2021.11.27

宅建勉強11月27日(土)

住宅比較株式会社の吉田です。

宅地建物取引業者がその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

  1. 宅地の販売広告において、宅地に対する将来の利用の制限について、著しく事実に相違する表示をしてはならない。
  2. 建物の貸借の媒介において広告を行った場合には、依頼者の依頼の有無にかかわらず、報酬の限度額を超えて、当該広告の料金に相当する額を受領することができる。
  3. 複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告するときは、最初に行う広告に取引態様の別を明示すれば足り、それ以降は明示する必要はない。
  4. 賃貸マンションの貸借に係る媒介の依頼を受け、媒介契約を締結した場合であっても、当該賃貸マンションが建築確認申請中であるときは広告をすることができない。

宅地の販売広告において、宅地に対する将来の利用の制限について、著しく事実に相違する表示をしてはならない。”正しい。宅地建物取引業者が業務に関して宅地建物の広告をするときは、著しく事実に相異する表示をし、または実際の物よりも著しく優良であり、若しくは著しく有利であると人を誤認させる表示をしてはいけません。本規定の適用を受ける表示項目は、①所在、②規模、③形質、④現在または将来の利用の制限、⑤現在又は将来の環境、⑥現在又は将来の交通その他の利便、⑦代金・借賃等の対価の額その支払方法、⑧代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあっせんが含まれます(宅建業法32条)。
“建物の貸借の媒介において広告を行った場合には、依頼者の依頼の有無にかかわらず、報酬の限度額を超えて、当該広告の料金に相当する額を受領することができる。”誤り。代理や媒介において報酬とは別に広告料金を依頼主に請求できるのは、依頼主の依頼によって行う特別の広告に関する料金に限られます。よって、依頼者からの依頼がなければ、その広告料金相当額を受領することはできません(報酬告示第9)。“複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告するときは、最初に行う広告に取引態様の別を明示すれば足り、それ以降は明示する必要はない。”誤り。取引態様の別の明示は、広告の都度行わなければなりません。片方の広告しか見ない人もいるので当然ですよね。取引態様の明示に関しては例外はないと覚えておきましょう(宅建業法34条1項)。
“賃貸マンションの貸借に係る媒介の依頼を受け、媒介契約を締結した場合であっても、当該賃貸マンションが建築確認申請中であるときは広告をすることができない。”正しい。建築確認を受けた後でなければ、当該工事に係る建物に関する広告をしてはいけません。たとえ建築確認申請中である旨を表示したとしてもダメです(宅建業法33条)。なお、貸借に限り必要な許可や処分前でも契約をすることができます。

したがって正しいものは「二つ」です。

2021.11.26

宅建勉強11月26日(金)

住宅比較株式会社の吉田です。

宅地建物取引士の登録(以下この問において「登録」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引士A(甲県知事登録)が、乙県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事することとなったときは、Aは甲県知事を経由せずに、直接乙県知事に対して登録の移転を申請しなければならない。
  2. 甲県知事の登録を受けているが宅地建物取引士証の交付を受けていないBが、宅地建物取引士としてすべき事務を行った場合、情状のいかんを問わず、甲県知事はBの登録を消除しなければならない。
  3. 宅地建物取引士C(甲県知事登録)は、宅地建物取引業者D社を退職し、宅地建物取引業者E社に再就職したが、CはD社及びE社のいずれにおいても専任の宅地建物取引士ではないので、勤務先の変更の登録を申請しなくてもよい。
  4. 甲県で宅地建物取引士資格試験を受け、合格したFは、乙県に転勤することとなったとしても、登録は甲県知事に申請しなければならない。

宅地建物取引士A(甲県知事登録)が、乙県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事することとなったときは、Aは甲県知事を経由せずに、直接乙県知事に対して登録の移転を申請しなければならない。”誤り。登録を受けている都道府県とは別の都道府県の事務所に従事することなった場合、登録を受けている都道府県知事を経由して、移転先の都道府県知事に申請をすることで登録を移転をすることができます(宅建業法19条の2)。登録の移転は現に登録を受けている都道府県知事を経由して申請しなければならない点、登録の移転は義務ではなく任意ですので「しなければならない」とする点で本肢は誤りです。
“甲県知事の登録を受けているが宅地建物取引士証の交付を受けていないBが、宅地建物取引士としてすべき事務を行った場合、情状のいかんを問わず、甲県知事はBの登録を消除しなければならない。”誤り。取引士証の交付を受けていない者の登録が消除されるのは次の3つのケースです(宅建業法68条の2第2項)。

  1. 宅建士登録の欠格事由に該当するに至ったとき
  2. 不正に手段により宅建士登録を受けたとき
  3. 宅地建物取引士としてすべき事務を行い、情状が特に重いとき

宅地建物取引士としての事務を行ったときに登録消除処分となるのは、情状が特に重いときに限られます。本肢は「情状のいかんを問わず」としているので誤りです。
“宅地建物取引士C(甲県知事登録)は、宅地建物取引業者D社を退職し、宅地建物取引業者E社に再就職したが、CはD社及びE社のいずれにおいても専任の宅地建物取引士ではないので、勤務先の変更の登録を申請しなくてもよい。”誤り。勤務先の宅地建物取引業者の商号・名称と免許証番号は、宅地建物取引士資格登録簿の登録事項となっています(施行規則14条の10第1項3号)。変更があった場合には、遅滞なく、登録を受けている都道府県知事に変更の登録を申請しなければなりません(宅建業法20条)。

“甲県で宅地建物取引士資格試験を受け、合格したFは、乙県に転勤することとなったとしても、登録は甲県知事に申請しなければならない。”[正しい]。宅地建物取引士の登録を受けることができるのは、宅建試験に合格した都道府県に限られます。Fは甲県で試験に合格しているので、甲県知事に登録を申請しなければなりません(宅建業法18条1項)。その後、必要があれば乙県に登録の移転をするという流れになります。
したがって正しい記述は[4]です。

2021.11.25

宅建勉強11月25日(木)

住宅比較株式会社の吉田です。

所得税法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 譲渡所得の特別控除額(50万円)は、譲渡益のうち、まず、資産の取得の日以後5年以内にされた譲渡による所得で政令で定めるものに該当しないものに係る部分の金額から控除し、なお控除しきれない特別控除額がある場合には、それ以外の譲渡による所得に係る部分の金額から控除する。
  2. 譲渡所得の金額の計算上、資産の譲渡に係る総収入金額から控除する資産の取得費には、その資産の取得時に支出した購入代金や購入手数料の金額は含まれるが、その資産の取得後に支出した設備費及び改良費の額は含まれない。
  3. 建物の全部の所有を目的とする土地の賃借権の設定の対価として支払を受ける権利金の金額が、その土地の価額の10分の5に相当する金額を超えるときは、不動産所得として課税される。
  4. 居住者がその取得の日以後5年以内に固定資産を譲渡した場合には、譲渡益から譲渡所得の特別控除額(50万円)を控除した後の譲渡所得の金額の2分の1に相当する金額が課税標準とされる。
  1. 譲渡所得の特別控除額(50万円)は、譲渡益のうち、まず、資産の取得の日以後5年以内にされた譲渡による所得で政令で定めるものに該当しないものに係る部分の金額から控除し、なお控除しきれない特別控除額がある場合には、それ以外の譲渡による所得に係る部分の金額から控除する。”[正しい]。総合課税の譲渡所得では特別控除額(最高50万円)を譲渡益から差し引いて所得を計算します。短期・長期の両方がある場合には、特別控除額をまず資産の取得の日以後5年以内にされた譲渡による所得(短期譲渡所得)から控除し、その後にそれ以外の譲渡による所得(長期譲渡所得)から控除します(所得税法33条4項)。
  2. “譲渡所得の金額の計算上、資産の譲渡に係る総収入金額から控除する資産の取得費には、その資産の取得時に支出した購入代金や購入手数料の金額は含まれるが、その資産の取得後に支出した設備費及び改良費の額は含まれない。”誤り。譲渡所得は「譲渡収入-(取得費+譲渡費用)」の式で算出します。取得費は「その資産の取得に要した金額・設備費・改良費の合計額」ですので、売った土地建物の購入代金、建築代金、購入手数料のほか設備費や改良費なども含まれます(所得税法38条1項)。
  3. “建物の全部の所有を目的とする土地の賃借権の設定の対価として支払を受ける権利金の金額が、その土地の価額の10分の5に相当する金額を超えるときは、不動産所得として課税される。”誤り。借地権設定の対価として支払いを受ける権利金の額が、土地の価額の10分の5に相当する金額を超えるときは、資産の譲渡とみなされ譲渡所得として課税されます。不動産所得ではありません(所得税法施行令79条1項1号)。
  4. “居住者がその取得の日以後5年以内に固定資産を譲渡した場合には、譲渡益から譲渡所得の特別控除額(50万円)を控除した後の譲渡所得の金額の2分の1に相当する金額が課税標準とされる。”誤り。譲渡所得は、取得したときから譲渡した日までの所有期間を基準に短期譲渡所得と長期譲渡所得に区分されます。所有期間が5年以内ならば短期、5年超ならば長期となります。総所得金額に算入するときに2分の1にするのは長期譲渡所得だけです(所得税法22条2項2号)。本肢は「所有期間5年以内」なので短期譲渡所得となり、2分の1はしません。
2021.11.24

宅建勉強11月24日(水)

住宅比較株式会社の吉田です。

宅地造成等規制法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

  1. 宅地造成工事規制区域内において、宅地を造成するために切土をする土地の面積が500㎡であって盛土を生じない場合、切土をした部分に生じる崖の高さが1.5mであれば、都道府県知事の法第8条第1項本文の工事の許可は不要である。
  2. 都道府県知事は、法第8条第1項本文の工事の許可の申請があった場合においては、遅滞なく、文書をもって許可又は不許可の処分を申請者に通知しなければならない。
  3. 都道府県知事は、一定の場合には都道府県(地方自治法に基づく指定都市、中核市又は施行時特例市の区域にあっては、それぞれ指定都市、中核市又は施行時特例市)の規則で、宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事の技術的基準を強化し、又は付加することができる。
  4. 都道府県知事は、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成工事規制区域内で、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者その他の者に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域であって一定の基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。

宅地造成工事規制区域内において、宅地を造成するために切土をする土地の面積が500㎡であって盛土を生じない場合、切土をした部分に生じる崖の高さが1.5mであれば、都道府県知事の法第8条第1項本文の工事の許可は不要である。”正しい。宅地造成に関する工事の許可が必要となるケースを確認しましょう。

  • 切土で2m超の崖を生じるもの
  • 盛土で1m超の崖を生じるもの
  • 切土盛土を合わせて2m超の崖を生じるもの
  • 切土盛土する土地面積が500㎡超

本肢は、切土する面積が500㎡(500㎡以下)、切土により生じる崖の高さが1.5m(2m以下)ですので、許可は不要となります(宅造法施行令3条)。“都道府県知事は、法第8条第1項本文の工事の許可の申請があった場合においては、遅滞なく、文書をもって許可又は不許可の処分を申請者に通知しなければならない。”正しい。宅地造成に関する工事の許可の申請があった場合には、都道府県知事は、遅滞なく、文書をもって許可または不許可の処分をしなければなりません(宅造法10条)。
“都道府県知事は、一定の場合には都道府県(地方自治法に基づく指定都市、中核市又は施行時特例市の区域にあっては、それぞれ指定都市、中核市又は施行時特例市)の規則で、宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事の技術的基準を強化し、又は付加することができる。”正しい。都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事について、その地方の気候、風土又は地勢の特殊性により、所定の技術的基準のみによっては宅地造成に伴う崖崩れまたは土砂の流出の防止の目的を達し難いと認める場合においては、都道府県の規則で、①必要な技術的基準の強化や、②必要な技術的基準の付加をすることができます(宅造法施行令15条2項)。
“都道府県知事は、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成工事規制区域内で、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者その他の者に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域であって一定の基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。”[誤り]。宅地造成防災区域は、宅地造成工事規制区域の造成宅地について指定されます(宅造法20条1項)。よって、「宅地造成工事規制区域で…指定できる」とする本肢は誤りです。
したがって誤っている記述は[4]です。

2021.11.23

宅建勉強11月23日(火)

住宅比較株式会社の吉田です。

不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 所有権の登記の抹消は、所有権の移転の登記がある場合においても、所有権の登記名義人が単独で申請することができる。
  2. 登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によって消滅する。
  3. 法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
  4. 信託の登記は、受託者が単独で申請することができない。

解説

  1. “所有権の登記の抹消は、所有権の移転の登記がある場合においても、所有権の登記名義人が単独で申請することができる。”誤り。所有権の登記の抹消を登記名義人が単独ですることができるのは、所有権の移転の登記がない、すなわち所有権の保存登記のみであるときに限られます(不動産登記法77条)。移転登記があるときには、抹消により所有権を失う者と所有権を得る者が生じるので共同申請となります。
  2. “登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によって消滅する。”誤り。委任契約は委任者または受任者の死亡により終了しますが、登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によっては消滅しないことになっています(不動産登記法17条)。司法書士に登記を委任した依頼人が死亡してしまった場合でも、当該司法書士の代理人の権限は存続するので目的の登記を代理することができます。
  3. “法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。”[正しい]。法人が合併したことによる権利の移転の登記は、登記権利者が単独ですることができます。合併により登記義務者となる法人が消滅しているためです(不動産登記法63条2項)。
  4. “信託の登記は、受託者が単独で申請することができない。”誤り。信託は、自分の持っている財産を別の人に託して(所有者を名義上移して)運用・管理・処分してもらう契約です。信託財産に不動産が含まれるときには、分別管理及び信託契約の内容の記録のために、信託の登記を行わなければなりません(信託法34条1項)。
    信託の登記は、共同申請させるべき合理的理由がないので、受託者(財産を預かる人)が単独で申請することができます(不動産登記法98条2項)。なお、信託に伴う権利の移転等の登記は共同申請です。
    したがって正しい記述は[3]です。

2021.11.22

宅建勉強11月22日(月)

住宅比較株式会社の吉田です。

Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)が令和3年7月1日に締結された場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

  1. 本件契約について期間の定めをしなかった場合、AはBに対して、いつでも解約の申入れをすることができ、本件契約は、解約の申入れの日から3月を経過することによって終了する。
  2. 甲建物がBに引き渡された後、甲建物の所有権がAからCに移転した場合、本件契約の敷金は、他に特段の合意がない限り、BのAに対する未払賃料債務に充当され、残額がCに承継される。
  3. 甲建物が適法にBからDに転貸されている場合、AがDに対して本件契約が期間満了によって終了する旨の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から3月を経過することによって終了する。
  4. 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約で、期間を5年、契約の更新がない旨を定めた場合、Aは、期間満了の1年前から6月前までの間に、Bに対し賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、従前の契約と同一条件で契約を更新したものとみなされる。

“本件契約について期間の定めをしなかった場合、AはBに対して、いつでも解約の申入れをすることができ、本件契約は、解約の申入れの日から3月を経過することによって終了する。”誤り。期間の定めのない建物賃貸借では、各当事者はいつでも解約も申入れをすることができます。このとき、賃貸人から解約申入れ(正当事由が必要)したときには申入れ日から6月を経過することによって終了、賃借人から解約申入れをしたときには申入れ日から3月を経過することによって終了するという違いがあります(借地借家法27条1項民法617条1項2号)。
本肢は、賃貸人Aからの解約申入れですから、解約申入れの日から6月を経過することによって契約終了となります。
“甲建物がBに引き渡された後、甲建物の所有権がAからCに移転した場合、本件契約の敷金は、他に特段の合意がない限り、BのAに対する未払賃料債務に充当され、残額がCに承継される。”[正しい]。建物賃貸借が対抗要件を備えている場合において建物の所有者が変わると、賃貸人の地位と敷金の返還に係る債務は当然に新所有者に承継されます(民法605条1項・4項)。この際、旧所有者に対する未払賃料等がある場合には、所有者の交代時に当然に敷金で精算され、残額のみが新所有者に承継されることになります(最判昭44.7.17)。
“甲建物が適法にBからDに転貸されている場合、AがDに対して本件契約が期間満了によって終了する旨の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から3月を経過することによって終了する。”誤り。建物が転貸されている場合に、原賃貸借契約が期間満了または解約の申入れで終了するときには、原賃貸人から転借人への通知が必要で、その通知から6月を経過することによって転貸借契約は終了します(借地借家法34条)。

“本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約で、期間を5年、契約の更新がない旨を定めた場合、Aは、期間満了の1年前から6月前までの間に、Bに対し賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、従前の契約と同一条件で契約を更新したものとみなされる。”誤り。期間1年以上の定期建物賃貸借では、賃貸人は、期間満了の1年前から6月前までの間に、賃借人に対して期間満了で賃貸借が終了する旨の通知をしなければなりません。所定の期間に通知をしなかったとしても(普通建物賃貸借のように)同一条件で更新したとみなされることはなく、賃貸人は通知期間後に改めて通知をすることで、通知をした日から6カ月経過後に契約を終了させることができます(借地借家法38条4項)。
したがって正しい記述は[2]です。

2021.11.21

宅建勉強11月21日(日)

住宅比較の吉田です。

AとBとの間で、Aを売主、Bを買主とする、等価値の美術品甲又は乙のいずれか選択によって定められる美術品の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)が令和3年7月1日に締結された場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、第三者Cを選択権者とする合意がなされた場合、Cが選択をすることができないときは、選択権はBに移転する。
  2. 本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、Aを選択権者とする合意がなされた後に、Aの失火により甲が全焼したときは、給付の目的物は乙となる。
  3. 本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについての選択権に関する特段の合意がない場合、Bが選択権者となる。
  4. 本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、第三者Dを選択権者とする合意がなされた場合、Dが選択権を行使するときは、AとBの両者に対して意思表示をしなければならない。

解答

本問のように、数個の異なった給付の中から選択によって定まる債権を「選択債権」と言います。例えば、以下のような内容が選択債権に該当します。

  • 宅建試験に合格したら、持っている時計をあげるか、10万円をあげる
  • 201号室と202号室のうちどちらかを貸す
  • 今月生まれた子犬3頭のうち1頭を譲渡します

選択権者は契約等において決められているのが普通ですが、民法では合意がないときに誰が選択権者となるかや、給付の一部が履行不能になったときの取扱いについて規定を置いています。

  1. “本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、第三者Cを選択権者とする合意がなされた場合、Cが選択をすることができないときは、選択権はBに移転する。”誤り。第三者が選択権者となっている場合に、その第三者が選択することができない、または選択しない場合には、原則的な選択権者である債務者、すなわち売主Aに選択権が移ります(民法409条2項)。
  2. “本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、Aを選択権者とする合意がなされた後に、Aの失火により甲が全焼したときは、給付の目的物は乙となる。”[正しい]。選択権者の過失により一方の履行が不能になってしまった場合、選択権は残存するものについて存在します。したがって、甲が全焼したときは、必然的に残った乙が選択されることになります(民法410条)。
  3. “本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについての選択権に関する特段の合意がない場合、Bが選択権者となる。”誤り。選択債権の原則的な選択権者は債務者です。よって、特段の合意がなければ給付義務のある売主Aが選択権者となります(民法406条)。
  4. “本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、第三者Dを選択権者とする合意がなされた場合、Dが選択権を行使するときは、AとBの両者に対して意思表示をしなければならない。”誤り。第三者が選択権者となっている場合には、第三者は債権者または債務者に対する意思表示によって選択を行います。選択の意思表示は、売主Aまたは買主Bに行えばよいので「AとBの両者に対して」とする本肢は誤りです(民法409条1項)。
    したがって正しい記述は[2]です。

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