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宅建勉強8月4日(木)

2022.08.04

問3

AがA所有の甲土地をBに売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. Aが甲土地をBに売却する前にCにも売却していた場合、Cは所有権移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の所有権を主張することができる。
  2. AがBの詐欺を理由に甲土地の売却の意思表示を取り消しても、取消しより前にBが甲土地をDに売却し、Dが所有権移転登記を備えた場合には、DがBの詐欺の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはDに対して甲土地の所有権を主張することができない。
  3. Aから甲土地を購入したBは、所有権移転登記を備えていなかった。Eがこれに乗じてBに高値で売りつけて利益を得る目的でAから甲土地を購入し所有権移転登記を備えた場合、EはBに対して甲土地の所有権を主張することができない。
  4. AB間の売買契約が、Bの意思表示の動機に錯誤があって締結されたものである場合、Bが所有権移転登記を備えていても、AはBの錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。

解説

  1. “Aが甲土地をBに売却する前にCにも売却していた場合、Cは所有権移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の所有権を主張することができる。”誤り。不動産の権利は、登記なく第三者に対抗をすることはできません(民法177条)。本肢のような二重譲渡の場合は、先に登記を備えた方が所有権を主張できます。よって、登記のないCは、Bに対抗をすることはできません。
  2. “AがBの詐欺を理由に甲土地の売却の意思表示を取り消しても、取消しより前にBが甲土地をDに売却し、Dが所有権移転登記を備えた場合には、DがBの詐欺の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはDに対して甲土地の所有権を主張することができない。”誤り。詐欺による意思表示の取消しは、善意無過失の第三者に対抗することができません(民法96条3項)。逆を言えば第三者が善意無過失でなければ取消しを主張できるということです。この「第三者」とは、Dのように取消し前に取引関係に現れた者のことを言います。
    よって、第三者であるDがBの詐欺の事実を知っていれば(悪意であれば)、AはDに対して土地の所有権を主張することができます。
  3. “Aから甲土地を購入したBは、所有権移転登記を備えていなかった。Eがこれに乗じてBに高値で売りつけて利益を得る目的でAから甲土地を購入し所有権移転登記を備えた場合、EはBに対して甲土地の所有権を主張することができない。”[正しい]。Eは背信的悪意者に該当し、先に登記を備えていたとしても、不動産の所有権を主張することができません。判例は、民法177条の第三者には背信的悪意者が含まれないことを示しています(最判昭43.8.2)。
  4. “AB間の売買契約が、Bの意思表示の動機に錯誤があって締結されたものである場合、Bが所有権移転登記を備えていても、AはBの錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。”誤り。錯誤による取消しを主張できることができるのは、重大な過失なく意思表示したもの(表意者)に限られます(民法95条1項最判昭40.9.10)。Bに取消しの意思がない場合には、意思表示の相手方であるAも錯誤を理由に取り消すことができません。なお「動機の錯誤」で取消しを主張できるのは、相手に動機の明示・黙示があった場合のみとされています(民法95条2項)。
    したがって正しい記述は[3]です。

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