不動産コンサルティングの住宅比較株式会社

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宅建勉強6月3日(金)

2022.06.03


問6

不動産に関する物権変動の対抗要件に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. 不動産の所有権がAからB、BからC、CからDと転々譲渡された場合、Aは、Dと対抗関係にある第三者に該当する。
  2. 土地の賃借人として当該土地上にある登記ある建物を所有する者は、当該土地の所有権を新たに取得した者と対抗関係にある第三者に該当する。
  3. 第三者のなした登記後に時効が完成して不動産の所有権を取得した者は、当該第三者に対して、登記を備えなくても、時効取得をもって対抗することができる。
  4. 共同相続財産につき、相続人の一人から相続財産に属する不動産につき所有権の全部の譲渡を受けて移転登記を備えた第三者に対して、他の共同相続人は、自己の持分を登記なくして対抗することができる。

解説

  1. “不動産の所有権がAからB、BからC、CからDと転々譲渡された場合、Aは、Dと対抗関係にある第三者に該当する。”[誤り]。本肢では、AからB、BからC、CからDへと所有者が移っていますが、当事者間であれば登記がなくても所有権を主張することができます。判例では、転々譲渡がされたとき、前々主(B)は民法177条の第三者に当たらないことが示されています(最判昭39.2.13)。同じ理屈で3つ前の所有者に当たるAも対抗関係にある第三者には該当しません。
  2. “土地の賃借人として当該土地上にある登記ある建物を所有する者は、当該土地の所有権を新たに取得した者と対抗関係にある第三者に該当する。”正しい。土地の賃借人と土地の新所有者は、どちらも土地の使用につき正当な権限を有するので対抗問題となります。土地の賃借人としてその借地上に登記ある建物を所有する者は、その土地の所有権の得喪につき利害関係を有する第三者です(最判昭49.3.19)。新所有者は所有権の移転登記を備えなければ、借地権者に対して賃料を請求したり、債務不履行による解除をしたりすることができません。
  3. “第三者のなした登記後に時効が完成して不動産の所有権を取得した者は、当該第三者に対して、登記を備えなくても、時効取得をもって対抗することができる。”正しい。当該第三者は時効の完成前に登場しています。時効取得者は時効完成前の第三者に対して、登記なくして所有権を主張することが可能です(最判昭41.11.22)。
  4. “共同相続財産につき、相続人の一人から相続財産に属する不動産につき所有権の全部の譲渡を受けて移転登記を備えた第三者に対して、他の共同相続人は、自己の持分を登記なくして対抗することができる。”正しい。第三者に所有権を譲渡した相続人は、他の共同相続人の持分の譲渡に関しては無権利者となります。よって、他の共同相続人は、自己の持分のうち法定相続分までは登記なくとも第三取得者に対抗することができます(最判昭38.2.22民法899条の2第1項)。
    したがって誤っている記述は[1]です。

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