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宅建勉強5月16日(月)

2022.05.16

問1

民法94条第2項は、相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効は「善意の第三者に対抗することはできない」と定めている。次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、同項の「第三者」に該当しないものはどれか。

  1. Aが所有する甲土地につき、AとBが通謀の上で売買契約を仮装し、AからBに所有権移転登記がなされた場合に、B名義の甲土地を差し押さえたBの債権者C
  2. Aが所有する甲土地につき、AとBの間に債権債務関係がないにかかわらず、両者が通謀の上でBのために抵当権を設定し、その旨の登記がなされた場合に、Bに対する貸付債権を担保するためにBから転抵当権の設定を受けた債権者C
  3. Aが所有する甲土地につき、AとBが通謀の上で売買契約を仮装し、AからBに所有権移転登記がなされた場合に、Bが甲土地の所有権を有しているものと信じてBに対して金銭を貸し付けたC
  4. AとBが通謀の上で、Aを貸主、Bを借主とする金銭消費貸借契約を仮装した場合に、当該仮装債権をAから譲り受けたC

解説

判例では民法94条2項の善意の第三者について、以下のように示しています。

最判昭45.7.24
民法九四条二項にいう第三者とは、虚偽表示の当事者またはその一般承継人以外の者であつて、その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至つた者

「第三者」に当たる代表的な例として以下があります。

  1. “Aが所有する甲土地につき、AとBが通謀の上で売買契約を仮装し、AからBに所有権移転登記がなされた場合に、B名義の甲土地を差し押さえたBの債権者C”誤り。Cのように虚偽表示の目的物を善意で差し押さえた譲受人の債権者は「第三者」に該当します(大判昭12.2.9、最判昭48.6.28)。
  2. “Aが所有する甲土地につき、AとBの間に債権債務関係がないにかかわらず、両者が通謀の上でBのために抵当権を設定し、その旨の登記がなされた場合に、Bに対する貸付債権を担保するためにBから転抵当権の設定を受けた債権者C”誤り。CはAB間の虚偽表示による抵当権設定登記に基づき、Bから抵当権の転抵当を受けています。このケースではCは「第三者」に該当し、AB間の抵当権設定登記が虚偽表示により無効とされた場合でも、Cは転抵当権の設定を対抗できます(最判昭55.9.11)。
  3. “Aが所有する甲土地につき、AとBが通謀の上で売買契約を仮装し、AからBに所有権移転登記がなされた場合に、Bが甲土地の所有権を有しているものと信じてBに対して金銭を貸し付けたC”[正しい]。CはBに金銭を貸し付けていますが、これは単にBに土地があるという信用の元になされた行為であり、法律上の利害関係があるとは言えません。Cのように仮装名義人に金銭を貸し付けた者は単なる一般債権者であり「第三者」には該当しません(大判大9.7.23)。
  4. “AとBが通謀の上で、Aを貸主、Bを借主とする金銭消費貸借契約を仮装した場合に、当該仮装債権をAから譲り受けたC”誤り。債権の発生原因である契約が虚偽表示である場合、その仮装債権を譲り受けたCは「第三者」に該当します(大判昭13.12.17)。

したがって正しい記述は[3]です。

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