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宅建勉強12月13日(月)

2021.12.13

問12

AとBとの間でA所有の甲建物をBに対して、居住の用を目的として、期間2年、賃料月額10万円で賃貸する旨の賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結し、Bが甲建物の引渡しを受けた場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. AがCに甲建物を売却した場合、Bは、それまでに契約期間中の賃料全額をAに前払いしていたことを、Cに対抗することができる。
  2. 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、賃料改定に関する特約がない場合、経済事情の変動により賃料が不相当となったときは、AはBに対し、賃料増額請求をすることができる。
  3. 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約である場合、Aは、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情があれば、Bに対し、解約を申し入れ、申入れの日から1月を経過することによって、本件契約を終了させることができる。
  4. 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、造作買取請求に関する特約がない場合、期間満了で本件契約が終了するときに、Bは、Aの同意を得て甲建物に付加した造作について買取請求をすることができる。

解説

  1. “AがCに甲建物を売却した場合、Bは、それまでに契約期間中の賃料全額をAに前払いしていたことを、Cに対抗することができる。”正しい。対抗要件を備えた賃借権の目的物が譲渡されると、前所有者の賃貸借契約に係る権利義務は新所有者に承継されます。この承継される権利義務には賃料前払も含まれます(最判昭38.1.18)。建物の賃貸借では引渡しが対抗要件なので、既に建物の引渡しを受けているBは、Aへの賃料の前払いがあったことを新所有者Cに対抗することができます。
  2. “本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、賃料改定に関する特約がない場合、経済事情の変動により賃料が不相当となったときは、AはBに対し、賃料増額請求をすることができる。”正しい。定期建物賃貸借では借賃の増額・減額をしない特約はともに有効ですが、特約がなければ原則に従い当事者双方から借賃の増減額請求が可能です(借地借家法32条)。
  3. “本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約である場合、Aは、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情があれば、Bに対し、解約を申し入れ、申入れの日から1月を経過することによって、本件契約を終了させることができる。”[誤り]。定期建物賃貸借では、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情があり、賃借建物(居住部分の床面積200㎡が未満)に住めなくなった場合には、賃借人は存続期間の途中であっても解約の申入れをすることができます(借地借家法38条5項)。本肢は、賃貸人Aから賃借人Bに途中解約を認める特約となっており、借主に不利なので無効となります。
  4. “本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、造作買取請求に関する特約がない場合、期間満了で本件契約が終了するときに、Bは、Aの同意を得て甲建物に付加した造作について買取請求をすることができる。”正しい。建物賃貸借では、建物に賃貸人の同意を得て付加した造作がある場合、賃貸借契約の終了時に、賃貸人に対しその造作を時価で買い取るよう請求できます。この賃借人の権利を「造作買取請求権」と言います(借地借家法33条1項)。造作買取請求権は任意規定なので特約で排除可能ですが、特約がない場合には行使可能です。
    したがって誤っている記述は[3]です。

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