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宅建勉強6月6日(月)

2022.06.06

問10

Aは、Bからの借入金の担保として、A所有の甲建物に第一順位の抵当権(以下この問において「本件抵当権」という。)を設定し、その登記を行った。AC間にCを賃借人とする甲建物の一時使用目的ではない賃貸借契約がある場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

  1. 本件抵当権設定登記後にAC間の賃貸借契約が締結され、AのBに対する借入金の返済が債務不履行となった場合、Bは抵当権に基づき、AがCに対して有している賃料債権を差し押さえることができる。
  2. Cが本件抵当権設定登記より前に賃貸借契約に基づき甲建物の引渡しを受けていたとしても、AC間の賃貸借契約の期間を定めていない場合には、Cの賃借権は甲建物の競売による買受人に対抗することができない。
  3. 本件抵当権設定登記後にAC間で賃貸借契約を締結し、その後抵当権に基づく競売手続による買受けがなされた場合、買受けから賃貸借契約の期間満了までの期間が1年であったときは、Cは甲建物の競売における買受人に対し、期間満了までは甲建物を引き渡す必要はない。
  4. Cが本件抵当権設定登記より前に賃貸借契約に基づき甲建物の引渡しを受けていたとしても、Cは、甲建物の競売における買受人に対し、買受人の買受けの時から1年を経過した時点で甲建物を買受人に引き渡さなければならない。

解説

  1. “本件抵当権設定登記後にAC間の賃貸借契約が締結され、AのBに対する借入金の返済が債務不履行となった場合、Bは抵当権に基づき、AがCに対して有している賃料債権を差し押さえることができる。”[正しい]。被担保債権に債務不履行があったときは、抵当権の範囲は抵当不動産の果実に及びます(民法371条)。抵当権者は賃貸された抵当不動産の賃料債権について物上代位することができます(最判平1.10.17)。
  2. “Cが本件抵当権設定登記より前に賃貸借契約に基づき甲建物の引渡しを受けていたとしても、AC間の賃貸借契約の期間を定めていない場合には、Cの賃借権は甲建物の競売による買受人に対抗することができない。”誤り。抵当権と賃借権の優劣は、第一順位の抵当権の設定登記と賃貸借の対抗要件取得の先後により決まります。本肢のように賃借権の対抗要件取得が先であれば、借主は競売の買受人に対して賃借権を対抗することができます(期間の定めの有無は関係ありません)。しかし、第一順位抵当権の設定登記が先であれば、賃借権を対抗することができません。
  3. “本件抵当権設定登記後にAC間で賃貸借契約を締結し、その後抵当権に基づく競売手続による買受けがなされた場合、買受けから賃貸借契約の期間満了までの期間が1年であったときは、Cは甲建物の競売における買受人に対し、期間満了までは甲建物を引き渡す必要はない。”誤り。本肢では抵当権設定登記よりも後に賃借権の対抗要件を取得しているので、買受人に対して賃借権を対抗することができません。このような場合にすぐに出て行けというのは賃借人に酷なので、競売の買受けの時から6カ月を経過するまでは、その建物を買受人に対して引き渡さなくてもよいことになっています(民法395条1項)。しかし、明渡しを1年間猶予される制度はないので、本肢は誤りです。
  4. “Cが本件抵当権設定登記より前に賃貸借契約に基づき甲建物の引渡しを受けていたとしても、Cは、甲建物の競売における買受人に対し、買受人の買受けの時から1年を経過した時点で甲建物を買受人に引き渡さなければならない。”誤り。本肢では抵当権設定登記よりも先に賃借権の対抗要件を取得しているので、買受人に対して賃借権を対抗することができます。したがって、賃借人は賃借権を主張して、甲建物に住み続けることができます。

したがって正しい記述は[1]です。

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