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【改革】進化する住宅ローン

こんにちは。住宅比較の森田です。

新型コロナウィルスの影響で働き方改革が加速し、住まい方の多様化が促されました。住宅取得に欠かせないのが長期住宅ローンですが、現在の住宅ローンは審査の対象となる年収・勤続年数などについて年功序列・終身雇用制度をベースに借りる側の属性で融資の可否が決定さえる従属型雇用形態(メンバーシップ型)を前提としています。しかしジョブ型雇用形態のもとでは、貸す側はそうした個人の属性よりも、担保物件の将来的な資産価値によらざるを得ません。

□メンバーシップ型・ジョブ型とは?

【メンバーシップ】“人に仕事がつく”

従来の年功序列・終身雇用の形態です。新卒採用、社内で教育・オールマイティーな業務・勤続年数で昇進・昇給

【ジョブ】“仕事に人がつく”

ジョブディスクリプション(職務記述書)に記載された特定の職務のみを対象に企業が募集する形態です。要件はスキルなので新卒中途関係ありませんし、勤続年数も意味を成しません。欧米でよくみられる形態で、コロナ禍で日本の大手企業もこの形態に切り替わりつつあります。

このように住まい方・働き方が多様化していく流れに対して住宅ローンの在り方は一本槍のままでした。長期ローンが持ち家取得に欠かせないのならば、少しでもリスクを減らせる新たなローン開発も必要になってくるでしょう。以前ご紹介した「リバースモーゲージ」のように、ローンを借りた親が子供に負担をかける心配がないような、完済できないときに残債務が請求されないような「ノンリコース型」は、2020年度の実績では全体の99%にも上りました。リバースモーゲージは高齢者対象の借入期間が少ないため地価などの下落リスクは少ないのですが、一般向けにも導入するためには住宅金融支援機構が被る損害の負担をどうするかのリスクがかかわってきます。フラット35のような資金の大半を借り入れるものに、リバースモーゲージのような「融資限度額を担保評価額の半額とする」という条件を設定することは難しいため、慎重な検討がされています。フラット35専門であるアルヒでは、コロナを背景に高まっている傾向として「将来の所得に対する不安を抱く人が増えており、手元にある程度の資金を残しておきたいと考える人が多い」としています。同社が昨春に開始した住宅ローンに付帯できる「全疾病保障:病気などで就業不能となった場合に月々のローン返済を保障」の保険商品が売り上げを伸ばしているのだとか。

□支払額減額型の住宅ローン

先行きが不安な中、支払い額を減額する新たな住宅ローンも登場。新生銀行が2019年11月に旭化成ホームズと組んで開発した「新生パワーセレクト」です。借入元本の一部を最終回に一括払いすることで月々の返済額をおさえられるローン商品です。

191107_hebelhaus_j.pdf (shinseibank.com)

最終回一括返済時にはグループ会社の旭化成不動産レジデンスが物件売却を手伝い、買い手がつかない場合は一括返済元本と同額の買取を保証するなど、最後の安心感を提供します。子育て世代の、経済面の負担を減らしつつ快適な住まいを持ちたいニーズに応えるシステムとして売り出す方向です。長寿時代で一度買った住宅に障害住み続けるとも限らない今、住み替えも視野に入れる方にとってはかなり良い選択肢といえるでしょう。

新たな住宅ローンの取り組みは国土交通省の補助事業である「住宅ストック(=中古住宅)維持・向上促進事業」にも採択されています。良質な住宅ストック形成を目的に2016年から開始されており、経済面をおさえつつ戸建のマイホームを持ちたいニーズを受けて、様々な取り組みをしています。

ノンリコース型も支払額減額型も、カギとなるのは物件の将来の資産価値です。これからの時代はその見極めがローンを貸す側・借りる側両社に求められることになります。つまり、良質なストック市場の形成が、住宅取得のリスクを減らす大前提となるのです。

(2021年7月20日 住宅新報より)

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