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【お金】老朽マンションの修繕積立金問題

こんにちは。住宅比較の森田です。近年、分譲マンションの老朽化が深刻化しています。今回は5月27日の日経新聞より、老朽化マンションの原因と対策をご紹介します。

マンションも住人も高齢化

マンションに限ったことではありませんが、築年数が経過すれば建物が劣化します。資産価値と住みやすさを維持するためには定期的な修繕が重要です。特に、屋根や壁などを修理する大規模修繕工事は十数年ごとに必要とされますが、資金不足に悩む管理組合は多いです。原因として、

ここ数年での工事費大幅上昇

管理組合の組合員が毎月支払う修繕積立金が入居当初の低水準のままである

といことがあげられます。毎月の修繕積立金を引き上げるためには、管理組合総会での合意が必要であり、決議が難航して引き上げることが出来ずにいるパターンが多いのです。居住者も築年数も高齢化したマンションは修繕の資金が足りず、老朽化が深刻になるというわけです。

政府の対策と世論

そこで政府は2023年4月、大規模修繕工事を実施したマンションを対象に

各住戸の建物部分の固定資産税を減額する特例

を導入しました。管理組合の、修繕工事へのモチベーションアップを目的としています。

修繕積立金一定水準を上回っている必要があります。国交省が2021年に改訂したガイドラインでは、

20階建て以上:下限額1㎡あたり月240円

20階建て未満で延床面積5000㎡以上10000㎡未満:下限額1㎡あたり170円

一般的な3LDKで平均70~80㎡とすると、20階建て以上で月19200~16800円、20階建て未満で月11900~13600円が目安ということになります。一方、不動産コンサルティング会社の集計によれば、東京都心9区で大手7社が分譲した新築マンションの修繕積立金の平均額は2022年で1㎡あたり月約180円。20階建て未満の下限額は上回っていますが、タワマンが該当するであろう20階建て以上の下限額は下回っています。

特例で減額される固定資産税は、建物部分の6分の1から2分の1。積立金が不足しているマンションでは、1戸あたりの負担が合計で数十万円単位になることが珍しくありません。専門家の間では、年間数万円程度の減税額になるとみられており、多くの場合不足する積立金をまかなうことは難しい見込みです。

短期対策と長期対策

特例対象になる見込みが少ない管理組合が取るべき対策として、まず考えるべきは

「不足分の分割払いによる徴収」

です。数十万円の一括払いに比べて、組合員の合意を得やすいためです。すでに外壁や屋根が傷み始めていて、工事が遅れると建物の劣化が深刻になりかねない場合は、

「借入」

が選択肢になります。当面の資金が不足している場合は、とりあえず借入をして早めに修繕工事を行い、資産価値の低下を防ぐことが大切です。住宅金融支援機構では、「マンション共用部分リフォーム融資」を行っています。原則として1年以上10年以内の期間で100万円から固定金利でかりることができます。場合によっては20年まで延ばすことも可能。管理計画認定制度の認定を受けていれば金利優遇があります。

また、目先の対策として

「工事の時期を変更する」

ということも考えられます。大規模修繕は3月頃から夏前まで行う「春工事」と、秋に工事を始めて年末までに終える「秋工事」が一般的=繁忙期。ここを避ければ人件費や足場の部材費等のコスト削減になります。

長期的な対策では、管理組合の収入源を広げることが一案。最近増えている手法として、

「住民用駐車場の空き区画を外部に賃貸する」

というものがあります。

マンション購入時の指標に

このように、大規模修繕工事は費用と時間がかかるうえ、入居期間中に行われるか分からない住民もいるため積立金の引き上げが出来ずにいるマンションが増えています。マンション購入の際は、売買代金の他に管理費・修繕積立金も確認すべき事項ですが、管理組合が作成する長期修繕計画も必ず確認しましょう。修繕積立金が安めでも、修繕計画が行われていないと、住みやすさも低下しますし、いざ売却するとなったときに資産価値が著しく低下し、住み替え等の資金計画が狂うことに繋がりかねません。

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