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【不動産×観光戦略】ニセコが「夏」に賭ける理由──自転車と企業誘致で通年リゾートへ
北海道・ニセコといえば、世界的に知られるスキーリゾート。パウダースノーを求めて訪れる訪日外国人は、2024年度も過去最高を更新しました。
しかし、そんな「冬の王者」が今、本気で「夏のニセコ」へと戦略の舵を切っています。今回は、ニセコの最新観光戦略を通して、軽井沢や那須など他の別荘地との違いを不動産・観光の視点から読み解きます。
なぜニセコは「夏」に注力しているのか?
ニセコでは、宿泊客の72%が12月〜3月に集中。対して、2024年度の6〜9月の夏季宿泊者数は10%減少という厳しい状況に直面しています。
背景には、飲食店や観光事業者の「オフシーズン休業」もあり、悪循環的に人が減ってしまう構造が。こうした課題を打破すべく、ニセコでは新たな2つの柱を中心に通年型リゾート化を推進しています。
背景には、飲食店や観光事業者の「オフシーズン休業」もあり、悪循環的に人が減ってしまう構造が。こうした課題を打破すべく、ニセコでは新たな2つの柱を中心に通年型リゾート化を推進しています。

1. 「自転車」で夏の観光再構築
ニセコのゲレンデが、夏にはマウンテンバイクのコースに変身!
東急不動産が整備を進める「ニセコ東急グラン・ヒラフ」では、上級者向けだけでなく、リフトを活用した初心者向けコースや三輪タイプのマウンテンカートも導入。
6月には「ニセコクラシック」と呼ばれる自転車イベントが開催され、17カ国から愛好家が参加。2026年には国際アマチュア大会も予定されています。
他の別荘地がゴルフや避暑を軸にしているのに対し、ニセコはアクティブ層・海外勢を惹きつける「スポーツツーリズム」を夏の核としています。

2. 「MICEニセコ」で企業研修も誘致
もうひとつの柱が「MICE(会議・報奨旅行・展示会など)」です。
観光協会は「MICE NISEKO」ブランドを立ち上げ、20〜100名規模の企業研修や役員合宿、株主総会の誘致を本格化。すでにアジアやオーストラリアの旅行会社から70件以上の問い合わせがあり、2024年6月にはアメリカ企業が株主総会を開催。
焚き火やイカダ体験、専門家の講演など150種以上のアクティビティも提供。単なる「自然体験」ではなく、戦略的な企業研修地として注目されています。

他の別荘地と何が違う?
軽井沢や那須が「日本人の高原避暑地」としての伝統を守るのに対し、ニセコは「都市型リゾート」への進化を目指しています。
✔ スポーツ観光:インバウンド自転車イベント
✔ ビジネス誘客:MICEによる法人連泊需要
✔ 通年稼働:冬も夏も宿泊施設をフル活用
これは、資産としての不動産価値にも影響を与えます。単なる「冬の別荘」から、年間を通して収益を生む「リゾート資産」へと転換が進んでいるのです。
まとめ|「夏もニセコ」は新しい別荘戦略のかたち
ニセコが目指すのは、単なる観光地ではなく「国際ビジネスとライフスタイルが融合した都市型リゾート」。
「ニセコ 夏」「ニセコ 自転車」「MICE リゾート」といったキーワードが今後の注目テーマになるでしょう。
不動産投資・別荘購入・リゾート開発を考える上で、ニセコの戦略は必ず参考になります。ぜひこの“通年型ニセコ”に今後も注目してください。