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【経済】コロナによる住宅価格のK字経済

こんにちは。春日部店の森田です。本日は日経新聞(2021年4月25日)より、都心部と近郊部の住宅価格における経済格差についてご紹介します。

今日本では住宅価格の二極化が進んでいます。画像上段の「東京都の市区町村ごとの平均住宅単価の増減率」をご覧ください。2015~19年は増減率の差は少なくプラスマイナス5%範囲でしたが、2020年は都心部は10%以上増である一方、近郊では10%以上減である地域もあります。この格差は都心部における高所得者層の購買意欲による値上がりと、近郊部における中低所得者層の購入を控え持ち家を売却する動きが一因であるとみられています。経済回復の進み方が上下に開く「K字型」の兆候が住宅価格にも表れています。

国土交通省による不動産データを日経新聞が独自調査した結果、港区や千代田区では2020年4~9月の住宅1坪あたりの取引価格の伸びが10%超。これは過去5年平均の2倍です。しかし全国平均の取引価格は前年同期比で6.2%下がっています。件数自体も14%減となり、コロナ禍のダメージを受けています。家計が厳しくなり家を手放す人が増えており、住宅の任意売却を仲介するある業者への相談件数はコロナ拡大前より3~5割増加、相談者のなかでも飲食やサービス業で働く人が昨年からは顕著に増えたそうです。画像中段のグラフからも読み取れるように、所得200万円以下の低所得層は昨年から持ち家世帯の割合がガクンと減っています。

住宅価格の変化の背景にあるのは格差の拡大です。大企業に勤める高所得者層はコロナ禍でも賃金が安定し、株価の上昇で保有資産の価値が上がる恩恵も受けます。一方コロナ禍が長引く中、飲食・サービス業で働く人や非正規雇用の人たちは失業や収入減に追い込まれやすく厳しい状況が続きます。画像下段のグラフをご覧ください。都心部の高価格帯のマンションが値上がりし、近郊の低価格の戸建ては需要が減少して値下がりしています。このように「K字型」に動く住宅価格は、所得格差の広がりを表すひとつです。

この二極化が、ひいては地域間の格差にもつながると、早稲田大学の橋本健二教授は懸念しています。都心部に高所得者層が集まり、中低所得者層が都心部から離れる動きが加速すると地域間で税収差が開き、行政サービスや教育水準に差が出るためです。

コロナ後の政策を考えるには格差の固定を回避する視点が大切です。

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